エレベーター、余裕をもって使ってください

2016年02月12日
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 春が近づいてきました。引っ越しする予定の人もいることでしょう。オフィスや施設のビルにしても、高層住宅にしても、多くの人が毎日エレベーターを使っていると思います。
 
 私の会社は、すでにご紹介した通り、エレベーターの保守・改修を手がけています。2年前くらいから、ビルのリニューアルに伴い、エレベーターの改修を求めるお客さん(ビルの所有者)が急増しています。
 

■改修費がない!

 
 機種によりますが、稼働後20年ほどたつと、メーカーがエレベーター部品の供給をしないという宣言をして、困っているお客さんが多いのです。
 
 
 メーカーは、顧客に新製品や新システムへ移行してもらう1つのビジネスモデルとしてそのような動きをするのかもしれません。エレベーターは部品さえあれば40~50年は持つようにできています。でもエレベーターを動かす中心部の制御盤――人間でいうと「頭」――が作られず、代替品もないとなると、お客さんは、不具合があればエレベーターを丸ごと取り換えないとどうにもならないのです。
 
 今のエレベーターシステムの多くは電子制御で一体化しており、一部だけ取り換えることができません。昔は例えば基板が6枚とかあって、中の3番目が焼けたといった不具合があればそれだけ取り換えれば使えました。今はもう総取り換えです。費用はすぐ数百万円、場合によっては1500万円、そんな水準になります。
 
 けれども、エレベーター改修の項目を予算に組んでいないビル所有者が多いことを指摘したいと思います。ビル建築前の段階では満室になると仮定して、いくらのローンを組めばいいのか、ペイできるか、計算できます。その後新築を経て時代が下ると、どうしても家賃が下がってくる。満室を確保しても、一定の家賃下落は避けられません。そのとき初めて、所有者は、管理コストやローンが払えないと認識するようです。人口減少に加え、コンピューターによる仕事の自動化が進んできました。部屋が埋まらないという現状もあり、特にオフィスビルの所有者はダブルパンチで問題に直面しています。
 
 エレベーター改修のための予算がないと、中には、部品の取り換えを望まない所有者もおり、そうなると結果的にはエレベーター全体、あるいは制御部分を取り換えざるを得なくなります。今せっかく使えているエレベーターの寿命を延ばすことができないのと同時に、改修費が逼迫するという悪循環のケースを見ることがあります。
 
 あらかじめ故障や不具合を予測し、余裕をもって予算に組み込んでおいた方がいいとビル所有者の方にはおすすめします。なぜ所有者が改修の必要性を予測しないのか私には分かりませんが、エレベーターは永遠に使えるものと、思い込んでいるのかもしれません。
 

■エレベーターはビルの「顔」

 
 以前、不動産の仕事をしている人から聞いたのですが、エレベーターはそのビルの「顔」のようなものだそうです。見込み客を部屋に案内するとき、まずエレベーターに乗りますよね。そのときにエレベーターの印象がよければ、契約が決まりやすいそうです。そのビル全体のイメージがよくなる第一歩ということです。逆に、内装が悪く、ちゃんと動かないと、それが原因でテナントが出てしまうことがあるそうです。
 
 オフィスビルも、マンションも、空き室がけっこうあります。所有者としては、なんとしてもビルを満室にしたいでしょう。そのためエレベーターのデザイン、内装、雰囲気が今まで以上に重視されていると感じます。そんなビル所有者のニーズをくみ取り、弊社は内装も手がけています。
 
 2020年に東京五輪が開催されます。今はそれに向け、仕事が回ってムードがいいけれど、その後、経済状況は決して楽にならないのではないでしょうか。雇用が頭打ちになる一方、人口は減っていきます。建物だって、どんどん建てればいいという感じではなくなるはずです。なんでも新しいものがいいとは限りません。現在ある建物で、エレベーターをいかにうまく修繕・維持してそのビルの価値を高められるか、新しいものよりは、古いものをいかにうまく使っていけるか、いつも考えています。
 

■「閉」をあまり押さないで

 
 エレベーターを大事に使うための具体的なコツをお伝えしましょう。まず、エレベーターのかごの中で1カ所に偏らず、人も荷物もバランス良く乗ること。かごが傾く状態が続くと、不具合を招く恐れがあります。
 
 それと、「閉」ボタンをあまり押さないようにします。急いでいるとつい「閉」ボタンを強く、時には続けて押してしまいます。これがボタンの基板にダメージを与えます。前述したように、裏ではボタンも基板1枚になっていますから、痛んだボタンの箇所だけ取り換えることができず、総取り換えになります。数十万円かかることがあります。
 
 エレベーターの扉は必ず閉まるように制御されています。弊社のビルのエレベーターには「閉」ボタンがありません。国によってはないのが普通とか、あっても押す人が少ないとか聞いたことがありますが、日本にはほぼ必ず「閉」ボタンがありますね。気持ちに余裕をもって乗ってください。
 
 きちんとメンテナンスすれば、エレベーターは相応に動いてくれるものです。お使いになるエレベーターに注意を向けてみてくださいね。
読者からのコメント
60歳代男性
電車の話ですが、日中、押し合わないようにと、前との間隔をとって安全に乗り込もうとしていると、混んでもいないのに、その少しの隙間を埋めるかのように入り込んでくる人がいます。その人は席を取ろうという訳でもなく、貧乏性なのでしょうか。西洋人は、列で日本人がぴったりくっ付いてくるのを嫌がるとも言います。その一方で、日本の電車の車掌さんは、普通に乗り降りしていれば、全員が乗り込んだあと少しの間を置いて、静かに、優しくドアを閉めてくれます。乗り降りしている最中に、ドアが突然しまるということはありません。ラッシュの時ですら、そうです。通勤・通学時間帯の、慣れた乗降客もまた、まさに阿吽の呼吸、神業的にトラブルがありません。面白いものです。
泉野普久さん、60歳代男性
どんなものでも、堅牢な構築物でも経年劣化し、また使用方法でも故障を来すということですね。管理の心得と積み立てなどお金の準備をしておかないとならない。それにつけても乗り方やボタンの押し方も大事なんですね。聞いてみないとわからないけど、そうした情報って必要だなと思いました。ちょっと困った時に修理の見積もり依頼するとこんなに高いのとびっくりしますよね。職人さんのいいなりになってしまうけど、今の時代はネットで相場がわかりますし、相見積もとれる。それでも平素から劣化診断と積立金をしっかりしようとつくずく思いました。あと綺麗で明るいELVはたしかに間違いなくポジテイブになります、商業物件に限らず、重要な空間であり配慮の効果はでますよね。汚くて暗いのを放置している物件はいきなりごめんなさいです。
嘆きの60歳さん、60歳代男性
エレベーターのメンテナンスの大切さを述べていましたが、人間も同様ですね。特に歳を採ってくるとそれが現実に表れます。頭は勿論の事、身体のあらゆる部分が痛くなったり、思う様に動かなかったり、胃、腸、眼、脚などに影響が出てくる。その意味でも毎日の生活を見直し、少し対策を考える事も必要です。なるべく医者に掛からず、医療費に金をかけない様にする。それが健康に結び付く。 「閉」のボタンがない国がある。日本にも是非それは導入したいですね。しかしちょっと無理かな。日本人は何でも急いでやりますね。いつも気がせいている。又忙しい事が良い事と思っている。今話題になっている、働き方を考えるのに良いヒントですね。もう少しゆとりを持って、毎日楽しく過ごしたいですね。
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